愛知県・名古屋・中川区のはり灸マッサージ治療院、ひらせ鍼灸院

自戒をこめて


心房細動とは

脳からの命令とは関係なく、心臓の中で勝手に電気を起こして、不整脈を起こす病気です。ときどき脈が飛ぶ(休む)期外収縮とは違い「トントン・トトトン・トン、トトン」のように脈がバラバラになります。心臓の中で血液が固まって脳に飛ぶと、脳梗塞を発症することがある、危険な不整脈です。

故長嶋茂雄さん、イビチャ・オシムさんは心房細動から脳梗塞を発症されましたし、小渕恵三元総理はお亡くなりになっています。 他にも、三浦雄一郎さん、高田延彦さん、益子直美さん、辺見マリさんなど、多くの芸能人が心房細動を公表されています。

私の場合

最初に発症したのは、1987年の寒い冬だったと思います。

港区の鍼灸院に出勤する前、トイレで用を足していたとき、胸に圧迫感があり、脈を診るとばらけていました。しかし、とくに気にすることなく出勤し、患者さんを汗をかきながら治療させていただいているうちにおさまりました。

二回目は、2016年2月、血圧を測っているときに「不規則脈波」を指摘されましたが、患者さんを治療させていただいているうちにおさまってしまいました。

「「三回目は2017年の5月9日、何となく胸に圧迫感がありましたので、自分で脈を診てみると不整脈がありました。今回は症状があるうちに予約の患者さんの治療を終えられたので、ホームドクターに心電図を撮ってもらったところ、心房細動を起こしていることが判明!総合病院の救急外来で点滴をしてもらい、正常に戻していただきました。

私の場合は「発作性心房細動」という診断で、普段は全くの無症状ですが、今後は発症の間隔が短くなるかもしれないということで、脳梗塞を予防するためのカテーテル手術をしていただくことにしました。

超音波や24時間の心電図、口から胃カメラを入れて食道の中から心臓の裏を診る検査をしていただいた後、8月13日に入院、14日に冷凍アブレーションカテーテルという方法で治療していただくことになりました。この方法は、従来の異常部位を焼灼する方法よりもリスクが少ないそうです。 以前は術前に血液をさらさらにする薬を中止する例が多かったようですが、私の場合当日も飲むように言われました。医学の進歩で、新薬ができ、手術もリスクが少なく確実な方法が確率されてきているのだと思いました。

カテーテルは、右の足の付け根から三本、左胸の鎖骨の下から一本入れて行われました。手術中に目が覚めてしまったのですが、痛みは、足の付け根をかき回されているような感じ、鍼治療のドーンという響きくらいで、とくに患部は何も感じませんでした。手術中唯一ビックリしたのは、右胸にドーン、ドーンと何度も電気刺激があったこと。これは、冷凍凝固するための場所としゃっくりを起こさせる神経が近いので、横隔神経を特定するために必要だったそうです。 途中で、「食道に温度計を入れますよ」と言われ、鼻から挿入されましたが、口からの胃カメラと比べれば、何ということはありませんでした。

「終わりましたよ」と先生に言われたので時間をお聞きすると11時半。ちょうど二時間でした。その後止血をして病室に戻ると、昼食が届いていました。でも、足の付け根から出血しないよう右足はのばしたまま固定されているので、起き上がることはできません。水分や食事の制限は全くなかったので、コンビニでお握りと吸って飲めるゼリーを買ってきてもらい、栄養補給しました。

足の固定を解いてもらえたのは夕食が届いて間もなくの六時間後。腰痛持ちの患者さんたちからは「大変だよ」と脅されていましたが、私の場合本当に辛かったのは最後の一時間だけでした。でも、待ち遠しかったのは確かです。慢性的な腰痛持ちの方は、可能であれば鍼灸治療などで腰痛のメンテナンスもなさってから手術に臨まれるといいと思いました。

四度目の再発

2025年3月23日、春田駅でマナカで改札を通ろうとしたらエラーになりました。仕方なく現金で切符を買ってホームへの階段を上っていると、列車が到着する音が・・・・・慌てて階段を駆け上がってギリギリ間に合って乗ることはできたのですが、名古屋駅に着いても動悸がおさまりません。それでもそのうちおさまるだろうと思い、目的の原駅まで行ってもおさまらない。そこで予定をキャンセルして中村日赤まで引き返し、点滴をしていただきました。

二度目の手術

「今後は発作の間隔が短くなるかもしれないので、手術したほうがいい」と言われ即決、6月12日の午前9時に入院、14時前から手術、17時に無事終了しました。

今回は。悪さをしている所を焼灼する手術でした。いわゆる火傷です。 医学の進歩でしょうか。二時艦後にはベッドを起こして食事をすることを許され、ベッドの上ならゴロゴロ動いてもいいと言われました。

今回は右の首と左手首からもカテーテルを入れました。マッサージは手首に負担がかかるのですぐにできるか心配でしたが、術後から痛みもしびれもなく、16日から通常通り患者さんを治療させていただいています。 治療間隔を前倒ししていただいてご来院いただいた患者様に感謝申し上げます。

心房細動は珍しい病気ではありません

私が手術していただいた病院のカテーテル室では同時に二人ずつ手術できるそうです。私が手術していただいた日も、私を含め」6人は手術を受けていたようです。ゴールデンウィーク前後で手術を受けられれば、少し長いお休みをいただくだけで患者さんにご迷惑をおかけすることはないと思っていましたが、4月7日に予約した時点で、6月12日を逃がすと7月までいっぱいと言われました。それだけ多くの患者さんが心房細動を発症しているといることです。

発作性心房細動は持続性、永続性に移行し、脳梗塞だけでなく心不全のリスクもあります。 ひらせ鍼灸院の患者様の中にも、ご自身や身内で心房細動を経験されている方がいらっしゃいます。「忙しくて仕事を休めない」「怖い」とおっしゃって、一日辺り500円程の血液さらさらのお薬を飲み続けておられる方もいらっしゃいます。残念ながら、迷っているうちに脳梗塞を発症された患者さんもいらっしゃいます。

医学が進歩したとはいえ、カテーテル手術にはリスクもあります。私は、脳梗塞高位症や心不全のほうが怖いです。手術を重ねるうちに脳梗塞や心不全の発症率は少くなるそうです。 今回も私はおそらく3か月後くらいには血液さらさらのお薬は飲まなくてよくなるでしょう。8年前よりも大きな手術だったのに、回復が早いです。8年前は術後一か月以上脈が80を超え、胸焼けがありましたが、今回は一週間後には70拍前後に落ち 塚き、無症状になりました。22日の父の十七回忌法要からお酒も解禁し、乾杯できました。

このコラムが、皆様の周囲で心房細動の経験がある方のお役に立てば幸いです。


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